2024年8月10日土曜日

PDやQCでの環境で力を発揮するTLP-P及びTLP-Nシリーズ

PDやQCでの環境で力を発揮するTANI-LabのTLP-P及びTLP-Nシリーズ


電圧の異なるデバイスを組み合わせて使用することは、マイコン(ArduinoやESP32)の5V、ファンやセンサーの12V、オペアンプの15Vなど、制御系とデバイス間でよくある課題です。理想的には、壁のコンセントにUSBのACアダプタを挿し、そこから1本のUSBケーブルで複数の電圧を賄えたら、シンプルで使い勝手が良いでしょう。


そんな要望に応えるのが、最近では細かいことは抜きにして安すぎて少々怖い300円や500円で手に入るようになったPD対応のACアダプタ(USB充電器)や、複数のUSBポートを備えた携帯充電器用のACアダプタ(USB充電器)です。これらのデバイスはPDまたはQC対応で、電圧や電流を柔軟に調整できる電源としてACアダプターとして活用可能です。

PD20Wの格安製品 5V/3A, 9V/2.22A, 12V/1.67A


それらを電源としてシンプル且つ効率的な環境を実現するのが、今回ご紹介するTANI-LabTLP-PおよびTLP-Nシリーズです。これらは入力電圧が変動しても、出力電圧を一定に保つ回路を採用しており、安定した電源供給を実現します。


次に、具体的な回路図を描いてみましょう。


電源部分は非常にシンプルに構成されており、TANI-LabTLP-PおよびTLP-Nシリーズは、多くのパッドを備えつつも、実際に使用するのはVin、EN、Vout、GNDの4種類だけです。これにより、複雑な接続作業を避けられます。使用するACアダプタ(USB充電器)に適したトリガーデバイスを選択して回路に追加するだけで、マイコンやファン、センサー、オペアンプ周りの設計に集中できるため、開発効率が大幅に向上します。

ちょっとだけ実演

まずは、ACアダプターにPDトリガーデバイスを接続し、12Vを取得。その電力で12V用のファンを回しつつ、MicroUSB接続のマイコン(ESP32)を稼働させてみます。


最初に、確認のためACコンセントにPD対応のACアダプターを接続し、トリガーデバイスをつないでテスターで電圧を測定しました。12Vが正しく出力されていることを確認できます。






次に、ファンを12Vラインに接続し、TANI-LabTLP-PおよびTLP-Nシリーズから5Vを出力するTLP-P050もつなぎました。マイコンの赤いLEDが点灯し、正常に動作していることがわかります。ファンもスムーズに回転しており、TLP-P050からは5.05Vが安定して出力されています。これで、12Vと5Vの両方のラインが確立されました。




TLP-P050は、写真中央に見える配線整理用の洗濯ばさみにプロービングされています。余談ですが、このプローブは3号機で3Dプリンターを駆使して試行錯誤した結果、110円で3個入りの洗濯ばさみとポゴピンを組み合わせて実現したものです。




完璧なはんだ付けとは言えませんが、左写真のような仕上がりになっています。







5V/400mAのLEDテープも一緒に光らせてみました。出力は5Vを維持しています。










話を戻すと、これはTLP-P050を使用して12Vの入力環境下で、12Vと5Vのラインを両方作成した実例です。今思えば、12VラインもTLP-P120にすればよかったです。



まとめ

今回の電源構成では、異なる電圧が必要なデバイスを1種類の入力電圧から効率的に供給する方法を示しました。具体的には、USBポートからトリガーデバイスを介して12Vが供給され、そこからマイコンには5V、ファンには12Vが適切に供給されています。オペアンプとセンサーについては今回は省略しましたが、同様の方法で対応可能です。

特に注目すべきは、TANI-LabTLP-PおよびTLP-NシリーズがLDO(低ドロップアウトレギュレーター)ではなく、スイッチングレギュレーターを採用している点です。スイッチングレギュレーターは、高効率での電力変換が可能で、入力電圧が大きく変動する場合でも安定した出力電圧を維持します。そのため、発熱が少なく、エネルギー効率に優れており、高電力用途や長時間稼働が求められるデバイスにおいて大きな利点を提供します。これにより、電源回路をシンプルにしながら、全体的なシステムの効率性と信頼性を大幅に向上させることが可能です。

さらに、プロトタイピングの段階でも、TANI-LabTLP-PおよびTLP-Nシリーズのシンプルな配線と設計が作業効率を飛躍的に向上させます。特に、ワイヤー接続での試作作業においては、煩雑な配線作業を最小限に抑えることができるため、開発時間の短縮と誤配線のリスク低減が期待できます。結果として、迅速かつ正確なプロトタイピングが可能となり、全体の開発プロセスがスムーズに進行します。



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